その瞬間、僕たちのサーフェイスゲームは再び動きだすこととなった

ーフェイスゲームしかやらなくなってもう20数年になる。

バス釣りを始めた中学生の頃から朝夕はトップウォータープラグを投げた。
そこからミノーやクランクベイトを使用し徐々に水中へ潜るプラグを使う。
僕と同世代であの本の洗礼を受けた方なら納得してもらえると思うが
当時はワームで釣っても『あ〜、プラスティックのミミズね・・・』みたいな目で見られたのだ。
そんな訳でワームだけはどうにも好きになれず、というより痩せ我慢して殆ど使わなかった。

そんな僕のタックルがすっかり様変わりした事があった。
それはバストーナメントが流行り出した80年代半ばの事、バス釣りが大好きだった僕もその後を追った。
とにかくブラックバスが釣りたかった僕は、目を三角にしてバスを釣った。
夜明け前からバイブレーションプラグを引きまくり、リアルなサスペンドミノーでバスを騙し、
釣れなくなると小さなワームを投げて釣れるだけのブラックバスを釣った。

3年目にはロッド1本とウォーターメロンカラーの4インチワームを一袋、あとは交換用のシンカーとフック。
たったそれだけを車に詰め込んで川や野池を一日中、回った。

その3年間、僕が釣った数多くのブラックバスとの思い出は残された数枚の写真しか残っていない。 僕たちはあまりにもブラックバスを釣る事に必死になりすぎたのだ。

そして4年目の早春、僕たちはまだ完成したばかりのリザーバーにいた。
ほとんど手つかずだったこのリザーバーでは真冬でも40センチクラスのブラックバスがディ−プクランクで嘘のように釣れた。

そのとき、僕は3年間全く使ってなかったスーパーストライカーGO-102を持って行った。
リールは10ポンドのナイロンラインを巻いた黒いパーミングカップの5500CA。
ラインの先にはオレンジのインナーハンドWBを結んだ。

僕は友人達にお願いして数頭だけ先に釣らしてくれと頼むと まるでスプーンの様なリップが付いたクランクベイトをぶら下げた友達は以外とあっさり了承してくれた。

減水していた時にしっかり記憶していた浚渫後のブレイクに沿って 僕はインナーハンドキャストする。
しばらく使ってなかった5500CAからはオイルの切れた金属音がしたが ロッドを煽るとオレンジのインナーハンドは気持ち良く水面を滑った。

3度目か4度目のスライドで深く落ち込むブレイクラインの上をプラグが通過したときに、水面が割れた。
期待はしていたが予想はしていなかった僕は反射的にロッドを強く煽ったが、プラグだけが水面から飛び出した。

その瞬間、僕たちのサーフェイスゲームは再び動きだすこととなった。

                                              genuine record 平山真一









*********
HOME
*********